丁子屋

きものTPO

ご自宅でできるお手入れ術! 其の一「基本のキ」

冬の三寒四温も過ぎ、春を感じたら、さぁお着物をお手入れするグッドタイミングです。
大切なお着物ですから、正しいお手入れが知りたい! という方も多いはず。これまで丁子屋では、お稽古の中で軽くお話ししたり、ご質問を受けた際にお伝えして参りましたが、この度、記事にまとめてみました。

3回にわたってお手入れ術を連載します。と言いましても、すべて簡単なものばかり。最初は戸惑ったり、不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、慣れてしまえば簡単ですよ。

第一回目は、「基本のキ」編です。

まず、お着物にとっての天敵は4つありますが、お洋服と同じです。ただ、正絹のお着物の場合は、生きている天然素材。綿の1.3〜1.5倍の吸水性があり、デリケートです。

1) 湿気
これにより、カビが発生し劣化する可能性があります。
2) 虫
虫喰いで生地に穴が開く可能性があります。
3) ホコリ
上記の虫の餌となって、呼び込んでしまいます。
4) 紫外線
衣ヤケします。特に正絹はタンパク質でできていますので変色しやすいです。

ということで、
お着物を着た日には、最低限、以下の5つのことをしてください。

1) 着物用豚毛ブラシでホコリを払う
表面の汚れやホコリを優しく落とします。

2) リグロインで半襟を拭く
リグロインで落ちない場合は、お襦袢全体が汚れて来たときに、半衿をつけたまま生き洗い(クリーニング)に出すことをおすすめします。 リグロインを使う場所は、お襦袢の衿と袖口くらいに留めましょう。シミなどの汚れた箇所に用いるのは危険です。お着物専門のクリーニングは老舗の丁子屋におまかせください。

3) お着物用ハンガーを用いて、最長で一晩干す
一晩で大丈夫です。それ以上干すと、袷のお着物の場合は、表地と裏地がズレてしまいます。干すことによって、衣の熱気と湿り気を飛ばすのが目的ですから、乾燥したお部屋で行ってください。また、着物は裏返して干しますよ。

4) 畳んで、たとう紙に入れて収納

5) 最終確認
着物を吊るす時か、たたむ時に、シミや汚れが付いていないか確認します。もしあれ
ば、むやみに手を出さず、そのまま専門家に任せましょう。出先でシミが付いて
しまった時も、絶対に水拭きなどをしないでください。乾いたティッシュペーパーを
当てて、両手で挟んで、手の温もりで出来るだけ吸い取らせる。あとは、いじらず専
門家へご相談を。

人も植物も美しさを保つには、手をかけることが必須であるように、人肌に近い正絹のお着物はとてもデリケートです。ぜひ、ご自分を大切にするように、お着物も大切に取り扱ってあげたいですね。

ただ、シミが付くのが嫌でお食事会に行くことをためらってしまったり、汚れがつくから外出を控えたりするのでは、元も子もありません。ハンカチやタオル、手ぬぐいなどを敷いて、それでもシミが付く場合はよくあること。伝統技術を有した専門家が身近にいることを頼りにして、気軽にお着物ライフを楽しんでいただきたいと思います。

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