丁子屋

きものTPO

ご自宅でできるお手入れ術! 其の二「たとう紙の正しい使い方」

お着物は「たとう紙」に入っているのが一般的ですね。たとう紙の呼び名については、地域によって異なり、関西では文庫紙といい、衣装敷を意味します。一方、関東では「たとうし」「たとうかみ」「たたみかみ」など読み方が多くありますが、どれも正解。丁子屋では「たとう紙(し)」と呼んでいます。

さて、購入したお着物は新品のたとう紙に入っていると思いますが、現在の状態はいかがでしょうか。また、譲り受けたお着物のたとう紙について考えたことはございますか。しわしわになっていませんか。実は、たとう紙がお着物に果たしてくれる役割は、3つあります。

たとう紙の役割
1) タンスの中で着物の出し入れによるホコリを防ぐ
2) 着物を湿気から防ぐ
3) 着物の畳みしわを防ぐ

大切なお着物の美しい光沢を保つためには、たとう紙が大切です。
意外と知られていない、正しい扱い方をお伝えしたいと思います。

正しいたとう紙の扱い方)
1) 吸湿性のある和紙で出来たものを選びます
2) 和紙であれば、価格の違いは吸湿性効果に大きな違いはありません
3) 薄紙は美しい見栄えを与えるためのもので、保存の条件とはあまり関係がありません。ただ、薄紙に含まれる糊成分が虫の餌になることもありますので、ご購入後は薄紙を取った方が良いとされています
4) 使用期限は最長2年を目安にお使いください
5) たとう紙に黄色いシミや、箪笥シミを発見したら、そのシミが着物に移りますので交換をおすすめします
6) たとう紙が湿気でしっとりしたり、膨らんだら交換の目安です
7) 虫干しの際に、たとう紙も陰干しすることで、より長く使えます

上記のように、半年から1年を目安にこまめにチェックしていただいて、定期的に交換することが、お着物を良い状態で保つために何よりも大切なことです。最長でも2年で新しいものに交換していただくことを、丁子屋ではおすすめしています。

最後に、丁子屋がおすすめする防虫と収納のポイントをまとめておりますので、どうぞご参考になさってください。

防虫のポイント)
1) ウールの着物は特に虫が好みますので、隔離してたとう紙にしまい、丁子染め風呂敷で包みます
2) 市販の防虫剤は、着物のシミや金糸や箔の変色の原因になるので避けます
3) 丁子染め風呂敷を引き出しの底に敷いて、その上にたとう紙にしまった着物を重ねます
※丁子は防虫効果の高いハーブで、丁子染め風呂敷は丁子屋オリジナル商品です。

収納のポイント)
1) 昔の日本建築とは異なり、現代の密閉した住環境や近年の湿度上昇の影響下では、桐の箪笥をお使いになっていても、湿度コントロールには足りませんので、虫干しが大切です
2) プラスチックのケースでも十分です。その場合は、下にすのこを敷いて、壁から少し離すと良いでしょう
3) 引き出しの底に「きものの友」のような除湿剤を敷くとさらに安心です
4) ケースの蓋を時々開けて、簡単に風通しをしてください
5) 湿気は下に溜まりやすいので、礼装は上段に、帯や小物は下段に収納するのが鉄則です

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