本文へ移動

3.雨の日のお出かけ■雨コートと足元のはなし

菜種梅雨、春雨、こぬか雨、五月雨、梅雨、驟雨、秋雨、時雨…
雨に関する語彙の豊富さからもわかるように、日本は雨の国です。
乾季と雨季に分かれている地域と違い、春夏秋冬、どの季節でも雨が降ります。
 
ところが「お出かけでも、雨なら洋服よ」とか「雨の日と夏は、着物はパス」というひとの何と多いこと。
これは、本当に残念なことです。
雨具を一組そろえてしまえば、着物を着て外出する機会が、ぐんと増えます。
雨の日の装いも、基本的には着物も洋服も変わりありません。
雨コートと雨ぞうり、それに当たり前ですがかさ
もっとも近頃は洋服ですと、大雨でもレインコートを着るひとが少なくなりましたが。
 

雨コートのことなど

モンペをはきましたので、雨がひどいときは、長靴でもOK。雨コートが足首まであるので隠れます
いちばんポピュラーなものが対丈(ついたけ)の雨コート。
対丈というのは、着物のようにおはしょりをとらず、着丈(着つける丈で足首くらいまでの長さ。男の着物や長襦袢がその丈)と同寸法に仕立てたものです。素材としては、表面が滑らかで光った繻子(しゅす)地がよく使われてきました。
この繻子地のように雨コート用の反物がありますが、気にいったものがなければ、好みの生地に防水や撥水加工をしてもらい、コートに仕立ててもらってもいいと思います。
 
おすすめしたいのが、紗の二部式コート。(このHPの「初めてのきもの…丁子屋流コーディネート…雨のくに4月、四季の雨コート4月」を参照)
上部が道行コート、下部が巻きスカートの形になっています。
晴れてきたら、巻きスカートの部分だけパラリと外して、道行コートだけになれます。一年中使えますが、素材が紗ですから、下に羽織でも着ないと、真冬は寒いかも。
上部の道行コートは、洋服のダスターコートの感覚で、雨の日以外にも帯の汚れなどを防ぐために「チリよけ」として使えます。
とにかく、軽くてかさばらないので、小さくたたんでバッグに入れておくと、雨が降りそうな日の外出には安心です。
ウールの長コートですが、防水加工がしてあるので冬の雨や雪の日に安心
足さばきが心配、というひとには、モンペをおすすめします。(このHPの「恭子の部屋…いい(良い)加減着物術…季節のコートなど」を参照)
「えっ~」という反応が返ってくるのは、年配の方。若いひとは、モンペ姿を「かっわいい~」というのです。
素材は、綿とポリエステルの混紡で、唐桟縞のしゃれた色調です。
股上が深いので、着物の裾をたくし上げずに、そのままはきます。
 
一種のパンツスタイルですから、足元はすっきり軽快。泥はねの心配もなく、階段もスイスイ上り下りできます。丈長の雨コートで隠れますので、外からは見えません。目的地に着いたら、トイレなどで脱げばいいのです。最近のようにゲリラ豪雨になったり、寒い雪の日などは温かくて特におすすめです。
ちなみに、モンペは自転車に乗るとき便利。
モンペがなければ、雨コート下の着物は、裾をクリップで止める方法をおすすめします。
着物の裾を、帯の上端まで折り返し、上前と下前をそろえて、帯の上端に止めてください。裾を折り返す時には、半端な位置で止めず、思い切って上まであげてしまいましょう(後ろも、お太鼓の半ばまで)。
ひもで押さえてもいいのですが、道中が長いとゆるんだり、ほどけたりしますので。
出先に着いたら、コートを脱ぐ前にクリップをはずしてください。パラリと着物の裾がもとに戻ります。このやり方ですと、道中で座っていても着物はしわになりません。

足元の雨対策

透明カバーのついた雨草履
昔からあるのが「爪皮(つまかわ)」のついた雨下駄。なかなかおしゃれですが、高い歯は歩きにくいものです。ことに階段を下りるときが不安定で、恐いのです。
今は、雨草履をおすすめします。
草履のつま先に透明なカバーを掛けたものです。値段については、普通の草履と変わらないものから、裏が一体成形の型押しでできた安価なものまでいろいろです。
 
出がけには降っていなくても、雨が降りそうなお天気のときは、雨草履か「晴雨兼用の草履」をはいていきます。
というのも、普通の草履は、裏側に鼻緒の紐を調節する穴が開いていてそこから水が染み込むからです。用心するに超したことはありません。
途中で晴れてきても、透明カバーがついた草履や晴雨兼用の草履でしたら、雨上がりに「ゴム長」という格好悪さはありません。ことに晴雨兼用の草履は、外見は普通の草履と変わりありません。
 
そのほか、靴のレインカバーのように、草履全体をくるむカバーもあります。半分に折りたたんで携帯できます。一番単純ですが、値段も手ごろですし、ハネを上げるかかともカバーでき、晴れたら取り外すだけで済みます。
晴雨兼用の草履、見た目はややよそゆき向きの普通の草履です
足袋はどうしましょうか。普通の雨なら足袋カバーを重ねてはき、外出先でカバーを外します。ただ大雨のときには、足袋までびっしょり濡れてしまいますので、予備を持参して、出先で代えたほうがいいでしょう。
 
雨の日は、歩き方もちょっとした注意が必要です。
外股で歩くと、泥はねがひどいようです。登りの階段では、つま先を内側にむけて「ハの字」の形に上っていくと、コートや着物の裾を踏みにくくなります。裾を踏むと切れてしまったり、へたをすると転んでしまいかねません。
 
それでも踏んでしまうのは、そもそもコートや着物の丈が長過ぎるのでは。コート丈は足首まで、着物も雨の日は短めに着たり、前項のように裾を上げてしまえば、コートの裾から出る心配はありません。

ポリエステルの着物

コートを着るにしても着ないにしても、雨の日には、化繊(ポリエステル)の着物を着る、という手があります。
「化繊なんて…」私たちもそう思ってきました。化繊ときくと粗悪品というイメージがありましたから。
ところが今の化繊は、発色といい、素材感といい、格段の進歩をとげています。ちょっと目には絹物と区別がつきません。
それでいて絹物と違い、自分で洗濯ができます。雨に濡れても、シミになったり縮んだりしません。汚れても、自分で手入れができますから気が楽です。水を使うお茶席や、出先での雨や汚れが心配な旅行では、余計な気遣いがいらないポリエステルが重宝されています。
 
2018年11月
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
TOPへ戻る